雨がたくさん降る夕方、夜霧やゴルフやジャガイモ、そして遠くに象がいる展示へみんなで行く。美術館を出て、空を見上げると、雨の降る中にぼんやりと月が。決めるつもりの毛頭ない僕らの組み合わせがたどりついたのは、入るつもりのないような居酒屋。大小の別れを惜しみながらも、めったにないぐらいに適度に酔っ払う。揚げ物にさらにライターで火を通す。茄子を食べない人が、茄子を食べ始めたり、普段はそんな仕草を見せない人が、そんな仕草を見せたり。このようなことには、きっと島袋氏の展示帰りということも関係しているに違いない、と思う。お店を出ると夕方の寒さはどこへ、いつのまにやら、まったくの春の夜に。あれは春雨だったのか。
「魔法を信じるかい?」、「魔法を信じ続けるかい?」
そんなことも少し過ぎる。月も見えましたしね。