やはり土曜の夜に



 いつのまにかメコンウィスキーにはびっくりしなくなっていたけれど、このぼんやりときたら、車を気にしすぎていつまでも道路を渡ることが出来ないことに似ているような。そういえば土手からなかなか直線的に横切れない多摩堤通り沿いのart & river bankで行われていた吉田和貴 さんの「すこしも考えていなかった」がとても印象的でした。展示空間で作品と対面することが、いつのまにかその作品について考えているはずが、その場とは関係ないこと(たぶん関係ないものなんて何一つない、という言い方でもいい気もするけれど)たとえばそこに足を運んだ人々が日々のよしなしごとに思いを馳せてしまうような仕組み、まさに砂浜に水を通すような。外への向かい方が決して求道的にならないという美しさ。多摩川の土手に配置された「U字溝」をぼくは知っていたけれど知らなくて、でもやっぱり知っていたのだ。


 ちなみにart & river bankでは5/9〜5/30まで内野清香さんの「6つの部屋」が行われるそうです。「6つの部屋」にはヴァージニア・ウルフの諸作と並べ向かい合って考えるべき事柄があり、非常に楽しみです。なお、内野さんは6/25に愛知の専門学校で研究者の市川氏の授業内で発表される作品行為にも私たちと一緒に参加をしてくれる予定です。