大きく手を振り、その舟を見送る。小さな頃に買ってもらった大きな『はてしない物語』、裏庭の楓に南天を絡めて育てていたので『ファーブル植物記』、毎年のように春や秋に思い浮かべていた京都のガイドブック、そして自宅から見えていた風景を忘れないようにいくつかのプリントも花の溢れる棺に入れて、あてどなき旅の終わりを願いながら見送る。