『あの言葉の君はどこへ行ってしまったの?』



11/11に教育学の研究者である友人とともに、その彼が講師をしている愛知県のとある専門学校の授業内で作品を発表します。当日の発表は授業内に行われるので一般非公開ですので、後日何らかの形で報告が出来ればいいな、と思っています。

『あの言葉の君はどこへ行ってしまったの?』
市川秀之|藤村豪


 同じ教室で同じ時間に書かれた言葉から、40冊の本が作られる。私たちはそれぞれ本を手にして、言葉の持ち主を捜して教室内を歩き回る。名前は書いていないから、自分の想像で、言葉と目の前の誰かを結びつけて訪ね歩く。その中で自分の行為がずいぶんと荒々しいものに感じられて躊躇う瞬間が何度も訪れるかもしれないし、それぞれに訪ね歩いているから「この言葉を読んで私のところに聞きに来るなんて」と驚くこともあるかもしれない。けれども私にとって想像の彼女がいるように、彼女にも想像の私がいても全然不思議なことではない。もしかしたら、自分が書いたはずの言葉をすっかり忘れて見過ごしてしまうこともあるだろうし、誰かの言葉が自分の言葉よりしっくりくることもあるかもしれない。その時に「これが私のもの ?」と立ち止まることがあってもよいのだと思う。    ( 藤村 豪 )