『6つの部屋』/『迷いの森で』



 内野清香 「6つの部屋」明日で最終日です。とても登れないような山に、私たちは一体どのようにして登るというのか。興味深い展示だと思います。まだ見ていない方は、お見逃しのないように。


内野清香『6つの部屋』「深夜、森で」より



 内野清香の初めての個展、『6つの部屋』は、奇妙な物語の気配に満ちている。意味のある物語なのかと思えば、頼りなくそこから逃げ去っていき、けれども、まったく霧散してしまうのかというと、そういうわけでもなく、またゆっくりと物語らしきものへの凝集が始まる。他人の夢でも見てみたい。そう語る内野の言葉通り、彼女の作品は、知人や友人など他人が見た夢を視覚化するという作業をベースにしている。もちろん視覚化といっても、内野の恣意的な判断を含まないわけにはいかないわけだから、まったくの他人の夢というわけでもない。いやそれどころか、作業の半ばにはすでに、彼や彼女のイメージは内野自身の夢でさえあるようである。夢。さまざまな出来事が渦巻く宇宙の中で、それぞれに懸命に生きている心弱い人間たちが、漆黒の闇の中で繰り返し体験し続けている脈絡のないイメージの奔流。内野の作品の前で、わたしたちはそれが実に頼りないものであるのと同時、かけがえのないものでもあることに気づかされ、そして心を打たれることになる。 (DMより抜粋)


内野清香『6つの部屋』art & river bank 〜5/30 (sat) 13:00-19:00



 なお、昨年から市川秀之と藤村豪で行われている授業での作品発表に内野清香も参加します。『迷いの森で|あの言葉の君はどこへ行ってしまったの?』、夢の話についてもこの作品の中で取り組みがなされる予定です。


藤村豪『火をつけて水を渡る』より


『迷いの森で | あの言葉の君はどこへ行ってしまったの?』
2009年6月26日(金) 尾北看護専門学校
市川秀之|内野清香|藤村豪