やっと聞こえる大きさで





 とても控えめに林の中から曇り空に新月を探して、しばらく座って、すこし歩き回って。通りがかった七尾旅人の短いライブを遠巻きに見る。他のお客も通りがかりのビールを飲む人々、それぞれに楽しく。再び耳にする『どんどん季節は流れて』。隣の男の子が女の子に一生懸命話しかけているから、歌は遠くからやっと聞こえる大きさで、それぞれに。夜になれば新月はどうしても見えないところへ行ってしまうそうで(最近知りました)。すっかり勘違いしていたけれど、それでも、思い込みからしか気付けなかったこともあるのかもしれません。