水戸であれこれ




 水戸芸術館へ。ボイスについての展示の途中で、遠藤一郎氏の『愛と平和と未来のために』という20分ぐらいの映像作品。何度も繰り返される「行くぞ」の声がきっかけとなり、直接的に『アトムの最期』と重なってくる。同時に、Elvis Costello & The Attractions の"(What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding"のことも思い出す。登れそうにないといわれている山に登ろうとすること、登ることのできない山に登ろうとすること、その間のことでしばし考える。




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 (省略)だいぶ登ったところで、一本の広葉樹を見つける。

ーあれ、ミズナラですね、こんなところに?

ーいろんな可能性が考えられます。熊が里で食べたドングリをここで排出したか、実をくわえたリスを鷲鷹類がつかまえて、ここで落としたか、食したか、または……。三百年か四百年ほど前に起こったドラマの、結果だけが残って、でも何が起こったかは知る術がない。





*1:『水辺にて』|梨木香歩筑摩書房|2006年