その他

『新しい小説のために』

わが国のアカデミックな批評家たちーそして彼らに追随する多くの読者たちーの考えているような物語形式は、ひとつの秩序をあらわしている。この秩序は、じじつ自然的と規定することができようが、これはある確固とした体系、合理主義的で組織的な体系と直結…

世界中の夜に聞こえてくるのは

年明けから気にかけてきた舟をようやく見届けて。その厚さで沈まないことを祈りながらも、それでも次にすべきことに向けて気持ちは傾けつつ。風の強い海辺で友人の展示を見れば、継続するプロジェクトに感心して、会えなかった友人の東京から広島の4.5hを考…

三度目の『どんどん季節は流れて』/大江健三郎のインタビュー/多声/『成長するってこと』/ヴァージニア・ウルフ/晴れ渡る空/青い上着

かえるかわるがわる

さきがけの行き過ぎようとするその姿からは甘い香り。坂を上り下り、道なりに歩いていると、ぐるりと一回り。迷い道の最中では、色んなことに気がつく。きっといつもそう。花の名前を知りたい。聞いたことがあるような、ないような鳴き声に誘われて池に向か…

屋上から戻ってくると

屋上から戻ってくると、『胸いっぱい』、『ばらの花』、会場ではいろんな音楽が…。 「懐かしい曲だ」 「うん。でも、いつでも聴いている」 ひよしは、ひよし…、広いからたくさん歩ける。 Такафуми、Мори、次は山の上の待ち合わせですかね。

『胸いっぱい』

鎌倉に足を運べば、いつも晴れ渡る空、風は強い。 でも見たことがないだけで、晴れたり曇ったり、もちろん雨が降っている日もあるわけで。 いつもその間のどこか。自転車屋さん、リュミーエールの娘さん、おめでとう。

ある友人が自身のアーカイヴから一枚のDVDを僕に手渡して、曰く「これで君も街道に戻るだろう」と。若かりし頃のジェフ・ウォールとよく似た髪型のビリー・クリスタルが走る映画。もはや街道に戻りはしないけれど、夜の間に忘れてしまうかも知れないけれど、…

あるはずがないものをあるようにして、食べられるはずがないものを食べようとして、みんながんばりました。僕の要領の悪さときたら…。上手く仕上がっているといいのだけど。どうでしょう。 ・ 忘れたくない物事は、美しい木箱の中へ。 ・ 久しぶりに会う若い…

きみは長い仕事に疲れきって 

きみは長い仕事に疲れきって くりかえしくりかえし くどくど話す人だ 長いこと話す、骨おって話す だが忘れないでくれ、あれは ますますくたびれて 真実を話しているのだ。 『ブレヒト詩集』(長谷川四郎 訳 みすず書房、1978年)より

どこかのだれかのなにか

どこかのだれかのなにか。そのなにかをほかのどこかのだれかが含めば、それを少し損なって。それをまたべつのどこかのだれかが含めば、そのなにかの痕か、それともべつのなにかの兆しか。そのようなものをまとめてまるめてポケットの中へと。それをやがて取…

ロメール

ロメールが過ぎ去った。この何週間か毎日のように彼のインタビューを読み、作品について思い返し、今日も週末の特集上映について話していたところにその知らせ。言葉を失ってしまう。自身が愛や恋を高らかに謳うようなことは決してせずに、その場所を眺め続…

НИИЗА

はじめの日、武蔵野線に乗って新座へ。 駅に着くと、男女が車で迎えに。とても小さくて古い車。 緑と青の間にある上品な色の車、薄い扉はロックをしないと走行中に開いてしまう、とのこと。 部屋に入ると、ひとりの男。ルーマニアの音楽が流れる中で、キムチ…

花の名前

夜、同級生でもある作家たちと今年を振り返る。みんなの作品には実は共通点があって、それは一体どういうことなんだろうね、という話をしてみる。トマス・デマンドとも、フィシュリ&ヴァイスとも違う彼らの蒔き直し。なかなか上手く伝わらないけれど、原因…

あの川の…

100年前にもあったという終わらない旅について思いを馳せる人があの川の家に。一瞬、Criticの歌う"Everybody hurts"が聞こえたような気にも…。気のせいかな。そう、日々には絶えることのない実践を。冬の日には舟を漕いで、旅はこれから、これから、ですね。

水戸であれこれ

水戸芸術館へ。ボイスについての展示の途中で、遠藤一郎氏の『愛と平和と未来のために』という20分ぐらいの映像作品。何度も繰り返される「行くぞ」の声がきっかけとなり、直接的に『アトムの最期』と重なってくる。同時に、Elvis Costello & The Attraction…

浜辺のあれこれ

最終日に『アニエスの浜辺』を観る。アニエス・ヴァルダの記憶へ向かう言葉がとても美しい。「記憶はハエのように…」、送り返された手紙、送り返した手紙。夜になれば、長い時間を知ったから短い時間のこともより知ることが出来るような気がしました。 海岸…

雲の奥の月も

雨の止んだお昼には『あの言葉の君はどこへ行ってしまったの?』についてのとてもいい言葉が思いついたけれど、夜になればいつの間にか忘れてしまっていました。いまは思い出せずも、やがてひょんなきっかけで思い出すかもしれないし、また別の言葉が思いつ…

「願わくば、まもなく、もう少しおもしろいことが起こりますように。そうなれば、いいな。」「じつはこれというようなことは起こらなかったのだ。あれは無気力と些細な計画の実行に時間をかけすぎた、いわば放浪の期間とでもいえばいい。一九八〇年には一日…

木下自転車店 

山形で自転車を買ったら、家まで配送してくれるのでしょうか。 夜中に山形の木下自転車店、店主から嬉しい報告が届く。 彼はいつも僕の何千マイルも先を歩いているようで、いつも驚かせられてばかり。 これで寒い季節にも花が咲いたり、「猫がニャ〜て、犬が…